憲法 日本国憲法の論じ方 Q15 移動の自由


Q 憲法22条の「居住・移転・外国移住・国籍離脱」の自由は何を保障しているのか?
(1)事実としての移動の保障

+第二十二条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
○2  何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

・住所・居所の変更には移動が必要なので、移動の自由も22条で保障されている・・・。
・人身の自由の一局面とみることもできる。

・一時旅行の自由
+判例(S33.9.10)
理由
上告代理人森川金寿、同猪俣浩三、同大野正男の上告理由第一点について。
論旨は、旅券法一三条一項五号は憲法二二条二項に違反し無効と解すべきであるにかかわらず、原判決が右旅券法の規定に基き本件旅券発給申請を拒否した外務大臣の処分を有効と判断したのは右憲法の規定に違反するものであると主張する。
しかし憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。そして旅券発給を拒否することができる場合として、旅券法一三条一項五号が「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」と規定したのは、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のために合理的な制限を定めたものとみることができ、所論のごとく右規定が漠然たる基準を示す無効のものであるということはできない。されば右旅券法の規定に関する所論違憲の主張は採用できない。

同第二点について。
論旨は、旅券法一三条一項五号が仮りに違憲でないとしても、本件の旅券発給申請は、同条に該らないに拘らず、原判決が同条を適用してその発給を拒否した外務大臣の処分を適法であると認めたのは同条の解釈適用を誤つた違法がある。又本件拒否処分は国家賠償法一条一項にいう故意過失があつたものとはいえない旨の判示も同条の解釈を誤つた違法があると主張する。
しかし、旅券法一三条一項五号は、公共の福祉のために外国旅行の自由を合理的に制限したものと解すべきであることは、既に述べたとおりであつて、日本国の利益又は公安を害する行為を将来行う虞れある場合においても、なおかつその自由を制限する必要のある場合のありうることは明らかであるから、同条をことさら所論のごとく「明白かつ現在の危険がある」場合に限ると解すべき理由はない
そして、原判決の認定した事実関係、とくに占領治下我国の当面する国際情勢の下においては、上告人等がモスコー国際経済会議に参加することは、著しくかつ直接に日本国の利益又は公安を害する虞れがあるものと判断して、旅券の発給を拒否した外務大臣の処分は、これを違法ということはできない旨判示した原判決の判断は当裁判所においてもこれを肯認することができる。なお所論中、会議参加は個人の資格で、しかも旅券の発給は単なる公証行為に過ぎず、政府がそのことによつて旅行目的を支持支援するものではなく、かつ政治的責任を負うものではないから、日本国の利益公安を害することはあり得ない旨るる主張するところあるが、たとえ個人の資格において参加するものであつても、当時その参加が国際関係に影響を及ぼす虞れのあるものであつたことは原判決の趣旨とするところであつて、その判断も正当である。その他所論は、原判決の事実認定を非難し、かつ原判決の判断と反対の見地に立つて原判決を非難するに帰し、いずれも採るを得ない。次に原判決が、本件拒否処分につき外務大臣の判断の結果が、かりに誤りであつたとしても国家賠償法一条一項にいう故意又は過失はない旨を判示したのは、本来必要のない仮定的理由を附加したにとどまるものであつて、その判断の当否は判決の結果に影響を及ぼすものではない。この点の所論も採用することはできない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。
この判決は、裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫の補足意見があるほか、全裁判官一致の意見によるものである。

+補足意見
本件に関する裁判官田中耕太郎、同下飯坂潤夫の補足意見は次のとおりである。
上告代理人森川金寿、同猪俣浩三、同大野正男の上告理由第一点について。
多数意見は憲法二二条二項の、「外国に移住する自由」の中に外国へ一時旅行する自由をも含むものと解している。しかし、この解釈には承服できない。この条項が規定しているのは外国に移住することと国籍を離脱することの自由である。それは国家と法的に絶縁するか、または相当長期にわたつて国をはなれ外国に永住するというような、その個人や国家にとつて重大な事柄に関係している。移住は所在をかえる点では一時的に国をはなれて旅行することと同じであるが、事柄のもつている意味は大にちがつているのである。のみならず如何に文理的解釈を拡張しても旅行を移住の中に含ませることは無理である。というのは移住は結局ある場所に定住することであるが、旅行は動きまわる観念だからである。この意味で旅行は同条一項の「移転」に含ませることが考え得られないではない。しかしこの場合の移転も、正確には「居住を変更する」(英文ではchange his residence)ことなのである。それは追放されないことの保障を内容としている。従つてその中にはこれと性質を異にするところの、旅行することを含むものとは解せられない。この規定は第二項が外国へ行く場合の規定であることに対応して国内における自由を定めたものと認められている。そうだとすればこれは外国旅行の場合に適用がないのは当然である。しかしこの規定は内国旅行の場合をも含んでいないものと解すべきである。
要するに憲法二二条は一項にしろ二項にしろ旅行の自由を保障しているものではない。しからばこれについて規定がないから保障はないかというとそうではない。憲法の人権と自由の保障リストは歴史的に認められた重要性のあるものだけを拾つたもので、網羅的ではない。従つてその以外に権利や自由が存せず、またそれらが保障されていないというわけではない。我々が日常生活において享有している権利や自由は数かぎりなく存在している。それらはとくに名称が附されていないだけである。それらは一般的な自由または幸福追求の権利の一部分をなしている。本件の問題である旅行の自由のごときもその一なのである
この旅行の自由が公共の福祉のための合理的制限に服するという結論においては、多数意見と異るところはない。
(裁判長裁判官 田中耕太郎 裁判官 小谷勝重 裁判官 島保 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村又介 裁判官 入江俊郎 裁判官 垂水克己 裁判官 河村大助 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 奥野健一)

(2)法的な移動の保障

(3)届出制の意味

+判例(大阪地判H13.10.12)アレフ信者転入拒否事件
第3 争点に対する判断
第3-1 本案前の争点に対する判断
1 住民基本台帳法の規定により市町村長がした処分に不服がある者は、都道府県知事に審査請求をすることができ、この場合においては異議申立をすることもできる(同法31条の3)。そして、前条の規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求の裁決を経た後でなければ、提起することができない(同法32条)。ただし、審査請求があった日から3箇月を経過しても裁決がないとき、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる(行訴法8条2項)。
2 原告らは、大阪府知事に対し、平成12年7月24日、本件不受理処分の取消を求める審査請求を行ったが、平成12年8月8日に本件訴えが提起された時点において大阪府知事の裁決はなされておらず、かつ審査請求が行われた日から3か月も経過しておらず、その他行訴法8条2項2号及び3号に該当する事情の存在を認めるに足りる証拠はないから、本件訴えは訴え提起時においては住民基本台帳法32条に違反する不適法な訴えであったというべきである。
原告らは、転入届が不受理とされた状態が続けば選挙権の行使を妨げられるおそれがあるから、「著しい損害を避けるための緊急の必要」(行訴法8条2項2号)が存在すると主張するが、本件の全証拠によっても、審査請求から3か月が経過する時点までに選挙等が行われる予定があった等の緊急の必要性を基礎付ける具体的な事情はうかがわれないから、原告らの主張を採用することはできない。
3 しかしながら、その後、裁決がなされないまま審査請求があった日から3か月が経過したことによって、本件訴えの瑕疵は治癒されたと解するのが相当である。けだし、本件処分についての裁決がなされないまま審査請求から3か月が経過した時点で、原告らは適法に訴えを提起することが可能になったのであり、仮に、本件訴えを却下しても、原告らは改めて本件訴えと同一内容の訴えを提起することになるところ、このような扱いは訴訟経済に反するからである。

第3-2 本案の争点に対する判断
1 本件不受理処分の適法性
(1) 法規の定め
ア 住民基本台帳及び住民票
住民基本台帳法は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、住民の居住関係の公証、選挙名簿の登録その他の住民に関する事務処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り、住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もって住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的としている(同法1条)。
そして、市町村は、住民基本台帳を備え、また、市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならないとされ、住民基本台帳及び住民票には、その住民の氏名、出生の年月日、男女の別、世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄、戸籍の表示、住民となった年月日、新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日及び従前の住所などの事項が記載されるものとし(同法5条、7条)、市町村長は、常に住民基本台帳を整備し、住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされている(同法3条1項)。他方で、住民は、常に住民としての地位の変更に関する届出を正確に行うように努めなければならず、虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならないとされている(同法3条3項)。
イ 手続
住民票の記載、削除又は記載の修正は、政令で定めるところにより、法の規定による届出に基づき、又は職権で行うものとする(同法8条)。
転入届に関しては、転入(あらたに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く)をした者は、転入をした日から14日以内に、氏名、住所、転居をした年月日、従前の住所、世帯主にづいてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄、国外から転入をした者その他政令で定める者については上記事項のほか政令で定める事項を市町村長に届けなければならないとしたうえで(同法22条)、正当な理由がなくて届出をしない者は、5万円以下の過料に処するとしている(同法51条)。
そして、市町村長は、新たに市町村の区域内に住所を定めた者その他新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者があるときは、一の世帯につき世帯を単位とする住民票を作成した後に新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者でその世帯に属することとなった場合(既に当該世帯に属していた者が新たに法の適用を受けることとなった場合を含む。)を除き、その者の住民票を作成しなければならない(住民基本台帳法施行令7条)。
市町村長は、法の規定による届出があったときは、当該届出の内容が事実であるかどうかを審査して、住民票の記載を行わなければならない(同令11条)。
(2) 証拠(甲69)によれば、被告吹田市長は、公共の福祉の観点と近隣住民の不安を考えるとアレフの信者の住民登録と転入届は受け付けることができないとの理由により、本件不受理処分を行ったことが認められる。
上記法令の定めによれば、新たに当該市町村の区域内に住所を定めた者が転入届を提出してきた場合には、市町村長は、届出の内容を審査したうえで、住民票を作成し、住民基本台帳に記録するとされており、転入届を届け出た者が新たに当該市町村の区域内に住所を定めたこと以外の事項を住民基本台帳に記録すること及び住民票を作成することの要件とすることを明記した法令はない。そして、住民基本台帳制度は、住民の居住関係の公証や住民に関する記録の適正な管理を図るために、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うものとして設けられた制度であるとされているところ、居住関係以外の事由により住民基本台帳に記録しない場合あるいは住民票を作成しない場合を認めるならば、かかる法の趣旨に反することになるし、転入届等の届出にに記載される事項は氏名のほか居住関係に関する事項に限られており、市町村長は当該届出の内容が事実であるかどうかのみを審査して住民票の記載を行なうとされていることからすると(住民基本台帳法施行令7条、11条)、居住関係以外の事項について考慮することは予定されていないとみるほかはない。
以上によれば、当該届出人が新たに当該市町村の区域に住所を定めたという実態が認められる場合には、市長村長は、転入届を受理したうえで住民票を作成し、住民基本台帳に記録する義務があるというべきであって、その他の事由により届出を不受理とする余地はないと解するのが相当である。

(3) 被告らは、住民基本台帳法の解釈も憲法の基本原理ないし理念に基づいて行われるべきであり、市町村長が転入届を受理すべきか否かについても、憲法上の公共の福祉の観点から、地域の平穏と地域住民の安全を確保するという要請との間の利益衡量によって判断されるべきであると主張する。
しかしながら、住民基本台帳法15条は、選挙人名簿の登録は、住民基本台帳に記録されている者で選挙権を有する者のうち、その者に係る当該市町村の住民票が作成された日から引き続き3か月以上当該市町村の住民基本台帳に記録されている者について行なうとされており(住民基本台帳法15条、公職選挙法21条)、また、当該市町村に住所を有することが当該市町村が行う国民健康保険の被保険者となることの要件とされており(国民健康保険法5条)、転入届が行われた場合には国民年金に関する届けがあったものとされる(国民年金法12条4項)など、住民基本台帳に記録されること及び住民票が作成されることは、住民の選挙権の行使、各種行政サービスの受給など住民の基本的な権利保障に関する手続であるということができ、転入届が受理されなければ、選挙権の行使など基本的権利が制約される結果が生じ得ることになる。そうすると、法律の定めがなくしてかかる権利に制約を加えることができないのは当然であり、したがって、転入届を受理するか否かを判断するにあたって転入者の危険性という事由を考慮することができるのは、かかる事由を転入届を受理する際の要件とすることが法律上明文で要件とされているか、解釈上これが要件であると解しうる場合に限られるところ、前述のとおり、住民基本台帳制度について定めた住民基本台帳法及び同法施行令によれば、届出人が当該市町村に住所を定めた実態があるかどうかのみを要件としていることは明らかであるから、被告らが主張するような事項を転入届を受理するかどうかにあたって考慮することはできないと解すべきである

(4) 被告らは、地方自治法2条2項の「地域における事務」には当該地方公共団体の地域の秩序を維持し、住民の安全、健康及び福祉を保持すべきことが含まれているということを、住民の安全の確保のために転入届を不受理とすることの法令上の根拠として主張するものと解される。しかしながら、同規定により、地域の秩序を維持し、住民の安全を図ることが地方公共団体及びその長の責務であると解されるとしても、そもそも、住民基本台帳制度は住民の居住関係の公証や住民に関する記録の適正な管理を目的とする制度であって、住民の安全確保を本来の目的とする制度ではないし、住民基本台帳に記録がなされず又は住民票が作成されなかったとしても、その者が、選挙権を行使することが困難になるなどの支障の発生を甘受しつつ、当該市町村の区域内に居住すること自体は可能であるから、転入届を不受理とすることと住民の安全を確保するということとの関連性は乏しく、住民基本台帳法が、地域の平穏及び住民の安全確保をもその目的としているものと解することはできないまた、住民基本台帳法が住民の安全確保のために転入の届出を不受理とすることを予定しているとするならば、住民の安全に危害が加えられるおそれがあるのかどうかを確認するための手続が当然定められてしかるべきところ、転入届の審査は届出の内容が事実かどうかに関してのみ行われるにすぎず、住民の安全確保を確認するための審査手続はなんら規定されていない
したがって、地方の平穏と地域住民の安全を確保をするという目的を実現するために、市町村長に、転入届を不受理とする権限を付与することを認める法令上の根拠はないというほかはないから、市町村長が転入届を受理すべきか否かについては、地方自治法2条2項を根拠に、地域の平穏と地域住民の安全を確保するという要請との間の利益衡量によって判断されるべきであるとする被告らの前記主張は採用することができない

(5) また、被告らは、市町村長の行う転入届の受理に関する事務について、地方自治の本旨として住民自治の原則が含まれていること、地方自治法2条4項が議会の議決の尊重義務を定めていることを斟酌すべきであると主張する。
かかる主張は、住民の代表者である議会により当該転入届を不受理とする旨の議決がなされ、その議決を尊重して市町村長が転入届を不受理とした場合には、住民自治の原則及び議会の議決の尊重義務が定められていることから、適法な処分であると解すべきであるとの主張と解される。
しかし、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」(憲法92条)、「地方公共団体は、・・・法律の範囲内で条例を制定することができる」(憲法94条)とされていることからも明らかなように、住民自治とは、法律の定めに反する行為をなし得る権限を地方公共団体及びその長に付与する制度ではなく、また、住民基本台帳法が転入届を受理するかどうかにあたって当該転入者の危険性について判断することを許容していないことをもって地方自治の本旨に反するとは解されないから、住民自治を理由に法律の定めに反して転入届けを不受理とする処分を行うことができないのはもとより当然である
また、議会の議決尊重義務についても、違法な内容の議決を行った場合にまで、議会の議決を尊重しなければならないと解することは到底できないのであるから、転入者の危険性を理由に転入届を不受理とする処分を適法とする理由とはなり得ない。
以上より、住民自治及び議会の議決権尊重義務から本件不受理処分が適法であるとの被告らの主張は採用することができない。
(6) 結論
以上検討したとおり、住民基本台帳法上、市町村長は、当該転入者が危険性を有することを理由として転入届を不受理とする権限を有しないと解すべきであるから、被告吹田市長が、公共の福祉の観点と近隣住民の不安への考慮に基づきアレフの信者の住民登録と転入届を受け付けることはできないとの理由により原告らの転入届をいずれも不受理とした本件不受理処分は違法であるといわざるを得ない。

2 国家賠償
(1) 本件不受理処分が違法であることは前述のとおりであり、また、公共の福祉と地域住民の不安を理由として転入届を不受理とすることが許されないことは法令の文言から容易に認識することができたのであるから、被告吹田市長には違法な処分を行ったことにつき、少なくとも過失があったというべきである。
(2) 証拠(甲9、10)によれば、転入届が不受理とされたことによって、選挙権を行使すること又は各種行政サービスを受けるに際して困難が生じる等の支障があることが推認されるところ、このような状況が継続することについて原告らが不安を抱いたこと及び本来受理されるべき転入届が受理されなかったことによって精神的損害を被ったことが認められる。
したがって、本件不受理処分がアレフに対する住民の不安を考慮して行われたものであることを考慮しても、本件不受理処分により被ったことによる精神的損害に対する慰謝料としてはそれぞれ金20万円が相当である。
3 結論
以上により、原告らが、被告吹田市長に対し本件不受理処分の取消しを求める請求並びに原告らが被告吹田市に対し慰謝料の支払を求める請求のうちそれぞれ金20万円及び各金員に対する平成12年7月11日から支払済みまで民事法定利率年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分については理由があるからこれを認容することとし、原告らのその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
第2民事部
(裁判長裁判官 三浦潤 裁判官 林俊之 裁判官 中島崇)

Q 人身の自由には何が含まれているのか?
(1)奴隷的拘束・意に反する苦役の禁止

+第十八条  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

・22条を居住・移転を超えた移動の自由一般を保障した規定と解すれば、22条が一般法であり、18条が特別法になる・・・。

(2)一般法としての22条

・あくまで空間的な拘束状態をカバーする規定。
・心理的な拘束状態は19条の思想両親の自由で。

Q 移動の自由にはどのような行為が保障されているのか?
(1)移動の自由の時代背景
(2)「移動の自由」の機能
移動の自由
①経済的②精神的③人格形成
さまざまな人間活動のベースになる
→厳格な審査基準

(3)移動の自由の新局面

・以上のような不作為請求だけでなく、作為請求もできないか。。。
バリアフリー化とか。